自販機補充は腰にくるのか|ぎっくり腰をやった現役の記録と、いま使っている物

自販機補充は腰にくるのか|自販機中の人 体と健康

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結論から言うと、腰には来ます。 ただ、私の周りに腰が原因で辞めた人はいません。

そのうえで、この仕事で一番やってはいけなかったのは、痛いまま作業を続けたことでした。私はぎっくり腰をやった日、それがぎっくり腰だと分からないまま、最後まで仕事をやりきってしまいました。武勇伝のつもりで書くのではありません。同じことをしてほしくないので書いています。

私は現役の自販機ルートマンで、ペンネームは無糖といいます。腰痛の一般的な解説はいくらでも出てきますが、この仕事のどの動作で腰に来るのかを書きます。

先に一つだけ。ここに書くのは私が体験したことだけで、治し方の話ではありません。いま痛みが出ているなら、まず医療機関で診てもらうのが先です。

ぎっくり腰だと分からないまま、その日の仕事を最後までやってしまった

数年前の、寒くなり始めた時期でした。

トラックの荷台から台車へ、オリコン(折りたたみ式のコンテナ)を降ろしていたときです。中身はだいたい500mlのペットボトル1ケース分で、重さにすると12kgくらいになります。荷台は腰の高さ、台車は足元。腰の位置から足元まで、オリコンを下ろす動きでした。

そこで腰がピキッとなりました。

ぎっくり腰は初めてだったので、それがぎっくり腰だと分かりませんでした。動けたので、そのまま働きました。

動けてしまったから、工夫して回りきってしまった

時間が経つにつれて、だんだん痛くなってきます。それでも作業は残っている。そこで自分なりに工夫を始めました。腰を曲げないようにする。持てる範囲の量に減らして、往復の回数を増やす。 そうやって、その日の分を最後まで回りました。

書いていて思いますが、これは褒められた話ではありません。 動けたから続けられたというだけです。いま思えば、痛みが出た時点で上司に連絡して、その日は上がるべきでした。判断がつかないことは、続ける理由ではなく止める理由にしたほうがいい。 私はそこを取り違えました。

当日に上司へ報告して、翌日は休んで病院へ

その日のうちに上司へ報告しました。返ってきたのは、翌日は休んで病院に行くように、という指示です。

そして翌朝、寝返りが打てないほど痛くなっていました。

膝を曲げるのもやっとです。少しずつ体勢を変えて、転がるようにしてベッドから足を降ろし、近くの物につかまって、やっとのことで立ち上がりました。何をするにも痛い。前の日は最後まで動けたのに、一晩明けたらこれです。

ただ、朝食を取ったり出かける準備をしているうちに、病院へ着く頃にはだいぶマシになっていました。

動けることと、大丈夫なことは別でした。 前の日の私は、そこを取り違えたまま働いていたわけです。

診てもらったのは、どの動作で痛みが出るのかの確認でした。前かがみが痛いのか、背中を反らすほうが痛いのか。ベッドにうつ伏せになって、先生が押した場所が痛むかどうかも確かめます。そのあとレントゲンを撮って、診察は終わりました。

処方されたのは湿布と痛み止めです。症状が重いときにはブロック注射というものもあるという話も聞きました。説明を聞いただけでゾッとしましたが、私はそこまでいかずに済んでいます。

復帰は数日後、1週間ほどは重い物を持たずに回った

ただし、普段どおりではありません。

そのときは1週間ほど同行者をつけてもらえました。 私がやったのは運転と売上金の回収、それと自販機の清掃だけ。重い物はすべて同行者が運んでくれました。制度としてそう決まっているという話ではなく、そのときにそうしてもらえた、というだけです。ここは職場によって変わると思います。

痛みそのものも、同じくらいの期間で治まりました。ただ、普通の腰痛のほうは今もあります。

もともと腰が悪かったわけではありません。最初にぎっくり腰をやってから、痛いと思う日がだんだん増えました。

痛むのは朝起きたときが多いです。特に土日。平日より数時間多く寝た日に来ます。

気になって調べてみたのですが、結局よく分かりませんでした。「寝ている間は体を動かさないので腰まわりが固まりやすい」という説明はよく見かけます。ただ、何時間寝ると腰に来る、という公的なデータは見つけられませんでした。マットレスの話も出てきます。ただ、たいていは寝具を売っている側の説明でした。

ひとつだけ、拾えたものがあります。日本整形外科学会の腰痛のページに、すぐ整形外科へ、という目安が挙げられていました。安静にしていても痛みが軽くならない。しだいに悪化する。熱がある。足がしびれたり力が入らない。尿もれがある。 私はどれにも当てはまりませんが、当てはまる人は早めに行ってください。

腰に来るのは階段。ただ「ぎっくり腰になりそう」なのは引く動作

ここが、この記事で一番書きたかったところです。

1日の中で一番腰に来るのは、階段の手上げでした。手上げというのは、台車が使えない場所で商品を手で持って運び上げることです。エレベーターのない建物に自販機があれば、これしか方法がありません。1回で持てる量には限りがあるので、何往復もします。同じ重さでも、平らな場所を台車で押すのと階段を手で上げるのとでは、腰への来かたがまるで違います。階段の話は自販機補充はきつい?楽?に詳しく書いています。

そのうえで、いま毎日やっていて「これは危ない」と感じるのは、別の動作です。荷物を引く動作。 綱引きに近い動きだと思ってください。持ち上げる瞬間もそうですが、引っぱっている最中のほうが危ないと感じます。

これは私個人の実感です。ただ、綱引きのような引く動作で腰をやる話はよくあるようなので、的外れではないのだと思っています。

ここで一つ断っておきます。私が実際にぎっくり腰をやったのは、引く動作ではありません。この章の前に書いた、オリコンを下ろす動作でした。時期も違います。

そもそも、この仕事で多いのは持ち上げる動作と下ろす動作です。引く動作は「危ないな」と感じますが、回数でいえば比になりません。数が多いぶん、実際に痛めるのはそちらだった、ということだと思っています。

つまり、引く動作さえ気をつけていれば大丈夫、という話ではありません。私自身がその例です。

もう一つ、正直に書いておきます。台車が使える場所なのに、面倒で手で運んでしまうことがあります。 少しの距離なら出さずに済ませたくなる。分かっていても、やってしまいます。

補充中は立ったまま。しゃがむのは商品を入れ替えるとき

補充の作業中は、ずっと立ったままです。中腰で固まっているわけではありません。しゃがむのは、商品を入れ替えるために自販機から出すときくらい。

あと、車の乗り降りが1日20〜30回あります。1回ずつは何でもない動きですが、それだけの回数を毎日繰り返します。

回収は、空なら軽い。飲み残しと瓶が重い

空き缶や空きペットボトルの回収も腰に関わります。ただし、全部が空なら軽いです。

重くなるのは飲み残しが入っているとき。液体が残っているぶん、そのまま重さになります。そして一番重いのは瓶の回収でした。

夏より冬のほうが、腰には気を使っている

運ぶ重さでいえば、夏のほうが圧倒的に重くなります。それでも腰に関しては、冬のほうが気を使っています。

寒いと体が固まるからです。固まった状態で持ち上げたり引いたりすると、ぎっくり腰になりやすい気がする。私が腰をやったのも、寒くなり始めた時期でした。

コルセットは、痛いときは1日中。痛くないときは階段だけ

ここからは、実際に自分で買って使っているものを紹介します。

私が使っているコルセットは、白十字の「FC腰ガードベルト」です。ドラッグストアで買いました。値段は4,000円くらいだったと記憶しています。

これを使っている理由は、しっかり固定できて、しかも蒸れにくいからです。コルセットというのはどうしても蒸れます。屋外で動き回る仕事なので、夏場は特にそうです。これは全面がメッシュになっていて、そのぶんマシでした。

使い方はこうしています。

痛みがあるときは1日中着けています。痛くないときは、階段の手上げのときだけ着けます。

前の章に書いたとおり、この仕事で腰に来る場面ははっきりしています。だから来ると分かっている場面の前に着ける。 それ以外は外しておく。メッシュでマシとはいえ蒸れますし、窮屈でもあるからです。

商品のパッケージやレビューには出てこない部分ですが、現場ではこの使い分けのほうが現実的でした。

不満もあります|ズレる、そして外せなくなる

ただ、不満もあります。

まず、動いているうちに腰からお腹のほうへズレてきます。 しゃがむ動作。自販機の上のラックに補充するために腕を伸ばす動作。そういう動きが積み重なって、少しずつ上がってくる。1日に数回は直しています。

その場では、下へ引き下げる応急処置で済ませます。きちんと巻き直すのは、トイレに行ったタイミングです。服だけでなくズボンも下げることになるので、作業の合間にその場でやれるものではありません。

もう一つ。ぎっくり腰が治ったあとも、不安で外せなくなりました。 着けていないと落ち着かない。痛くないときは外しておきたいのに、そう思いきれない時期がありました。道具の欠点ではありませんが、これから買う人には先に伝えておきたいところです。

ここまで不満を並べましたが、それでも使い続けています。 ちなみに、私が使っているのはこれです。

運転席のクッションは、ダイソーの500円で足りています

腰痛クッションも使っています。座面に敷くタイプではなく、運転席の背もたれと腰のあいだに挟むタイプです。買ったのはダイソーで、500円でした。

座るところではなく腰のほうにしたのは、単純に腰が痛かったからです。

高いものが要るかどうかは人によると思います。ただ、私の場合は500円で済んでいるというのが事実なので、そのまま書いておきます。

他にやっているのは湿布だけ。持ち方は先輩から教わりました

対策と呼べるものは、痛みがあるときに湿布を貼るくらいです。ストレッチも体幹トレーニングもやっていません。

やっていない人間が言うのも何ですが、調べてみました。厚生労働省が職場における腰痛予防対策指針というものを出していて、重い物を扱う仕事の人向けに書かれています。反動をつけず、20〜30秒かけて伸ばすストレッチを、作業の前や合間や終わりに、とありました。

同じ資料に、こうも書いてあります。「人力での階段昇降は避け」。

それができれば苦労はしません。エレベーターのない建物に自販機がある以上、手で上げるしかない。ただ、避けたほうがいいと国が書いている作業を毎日やっているという自覚くらいは、持っておいたほうがいいのだと思いました。

なお同じ指針には、痛みが残っているうちにストレッチをしていいかどうかは医師と相談するように、とも書かれています。腰をやったばかりなら、体操より先に整形外科です。

一つだけ、日々の動作で意識していることがあります。腰はまっすぐのまま、膝を使って持ち上げる。 ウエイトリフティングの選手の姿勢をイメージすると分かりやすい、と教わりました。これは研修で習ったものではなく、先輩から個人的に聞いたアドバイスです。会社によっては指導があるのかもしれません。

病院で渡されたのは、会社に出す紙でした

私が行った病院では、いつ・どこで・どうしてなったのかを聞かれました。 初めて行く病院だったので、問診票を書いています。仕事中のケガかどうかで、使う保険が変わるからです。

私は問診票に、仕事中の出来事だと書きました。

すると、「労災を申請するなら、この紙を会社に提出してください」と書類を渡されました。

その紙を、私は会社に出しませんでした。 労災がどういうものか、よく分かっていなかったからです。それに、労災はあまり使ってはいけないもの、という感覚がどこかにありました。 誰かにそう言われたわけではなく、自分の思い込みです。

いま思えば、どうやらそういうものでもないようです。制度の細かい話は詳しい人に譲りますが、少なくとも、後ろめたいものではなかったのだと思います。

伝えたいのはここです。痛めたその時点で、会社に報告しておいたほうがいい。 病院で聞かれたときにも、紙を渡されたときにも迷わずに済みます。出すかどうかは、そのあと自分で決めればいい話です。

周りはみんな腰が痛いと言う。ただ、腰で辞めた人はいない

同業の人と話すと、みんな腰が痛いと言います。

ただし、腰が原因で辞めた人は、私の周りにはいません。 話を盛らないために書いておきますが、事実としていないのです。

みんな痛いと言っているのに、辞めた人はいない。逃げ出すほどではないけれど、全員が抱えている。それがこの仕事の腰痛の実態だと思っています。

痛める前に、持ち方と台車のクセをつけてほしい

最後に、これから自販機ルートマンを始める人へ。

重い物の上げ下げは毎日続きます。負担は蓄積するので、腰を痛める可能性は高いと考えておいたほうがいいです。 一度で壊れるというより、少しずつ溜まっていく感覚に近い。

だから、痛める前に、負担をかけない持ち方と、台車を使うクセをつけてほしいと思います。腰を曲げずに膝を使う。台車が使える場所では面倒がらずに台車を出す。痛くなってから覚えると、私のように「不安でコルセットを外せない」ところまで行きます。

仕事の中身そのものは自販機ルートマンの仕事内容と1日の流れにまとめてあります。腰の話だけで判断せず、そちらも合わせて読んでみてください。

腰は痛めますが、対策の余地はある仕事です。私はまだ続けています。

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