自販機ルートマンの仕事は「トラックで担当する自販機をまわり、飲み物を補充してまわるドライバー」——と思われがちです。実際にやってみると、補充だけでは終わらない、やることの多い仕事でした。
私は現役の自販機ルートマンです。この記事では、求人サイトの一般論ではなく、私が実際に過ごしている1日を時系列で正直に書きます。「補充の仕事ってどうなの?」と調べている人が、応募する前に中身をイメージできるように、という記事です。ペンネームは無糖といいます。
自販機ルートマンは「飲み物を補充してまわるドライバー」
まずざっくり言うと、ルートマンは決まったルート(担当する自販機のまわり順)を毎日トラックでまわり、売れた分の飲み物を補充していく仕事です。特別な学歴も、専門資格もいりません。ここは間違いなくハードルが低い。
ただ、私が入る前に抱いていたイメージとは、けっこう違いました。私は最初、「ただ飲み物を補充するだけ」だと思っていたんです。実際は補充だけでは終わりません。
まず、補充がメインと思われがちですが、一番大事な仕事は売上金の回収です。自販機は現金を扱う機械なので、お金を確実に回収して管理することが、この仕事の柱になります。
そのうえで、売れ行きの悪い商品や、賞味期限が近くなった商品を「抜く」作業があります。売り切れの連絡が入れば、その対応でまわる順番が変わることもある。空き缶入れがいっぱいになったという連絡が来て、ゴミ回収のためだけに自販機1台へ訪問する日もあります。売上金の回収・補充・抜き・ゴミ回収・清掃と、自販機1台の前でやることは意外と多い、というのが正直な感想です。
現役の1日の流れ|出社からルートをまわって帰社まで
ここがこの記事の核です。私の実際の1日を、朝・日中・夕方に分けて書きます。
朝は出社→ルート確認→出発(積み込みは前日の夕方が基本)
朝は出社して、その日にまわるルートと、売り切れなどの連絡を確認してから出発します。
ここで先に1つ、よくある誤解を正しておきます。「朝いちばんに重いケースを積み込む」と思われがちですが、私の場合、朝に積むことはほとんどありません。基本は前日の夕方、帰社してから翌日分を積んでおきます。だから朝はどちらかというと、確認して出発する時間です。
積み込みのちょっとしたコツもあります。ピッキングリスト(何をいくつ積むかの一覧)の上に表示された商品から順番に積んでいくこと。順番どおりに拾っていくと、積み間違いも取りこぼしも減ります。
日中は自販機1台あたり約20分で補充とメンテを繰り返す
日中はひたすら、自販機を1台ずつ補充してまわります。自販機1台にかける時間は、私の体感でだいたい20分くらい。ホット(温かい飲み物)とコールド(冷たい飲み物)の切り替え作業が入る自販機だと、もっと時間がかかります。
やることは、釣り銭を残して売上金を回収する作業、売れた分の補充、売れ筋への入れ替え、周りの簡単な清掃。ハンディ端末(売上を確認する小さな携帯型の機械)で、その自販機がどれだけ売れたかも見ます。
季節の体感は、正直に言うとかなり大きいです。夏は日差しが強くて作業中も暑いのですが、それ以上にトラックの中がすぐ熱くなる。しかも夏は500mlペットボトルなどの大型商品がよく売れる季節なので、運ぶ荷物そのものが重くなります。冬は逆に乾燥がきつくて、手がカサカサになります。ひどいときは指先が割れて血が出ることもありました。
雪の日はもう一段大変です。運転そのものが神経を使いますし、自販機の前は雪を溜められがちで、それが凍ると扉が開かなくなる。スコップは必須です。雪かきから始まる補充、というのは未経験のうちは想像しにくい部分かもしれません。
夕方は帰社→集計→翌日分の積み込みで終了
ルートをまわり終えたら会社に戻り、その日の集計をして、翌日分を積み込んで終業します。前述のとおり、この「翌日分の積み込み」を夕方にやっておくのが基本の流れです。
定時で帰れるかどうかは、件数と作業内容しだいです。淡々と補充だけで済む日は早く終わります。逆に大変なのは、商品の入れ替えがたくさんある日。辞める商品を抜いて、見本を交換して、コラム設定(押しボタンと商品を紐づける設定のこと。ここをミスると、押したボタンと違う商品が出てきます)と価格設定をやり直す。お金のことなので、価格は絶対に間違えられません。この一連が自販機の台数分あると、じわじわ時間を持っていかれます。
特にきついのが、ホットからコールドへ切り替える時期です。温めて売る商品(HOT)は、私の経験では2週間くらいで自販機から抜くことになります。長く温め続けると味が落ちたり、色が変わってしまうからです。これはあくまで私の体感で、業界共通の決まった日数というわけではありません。冬は抜く商品が多くなるぶん時間がかかり、季節の変わり目は1年で一番バタバタする印象です。
やってみて分かった「きつい所」と「意外と良い所」
正直に両面を書きます。まずきつい所から。
一番はやっぱり体です。私は仕事の途中でぎっくり腰をやってしまったことがあります。その日は動けたので1日やりきりましたが、翌日は休んで病院に行きました。あとは地味にこたえるのが階段。エレベーターのない建物だと、飲み物を手で持って上げるしかありません。1回で運びきれればいいのですが、2往復3往復となると、これがシンプルにきつい。
一方で、意外と良かったと感じる所もあります。時間の使い方が自由なことです。「10時に休憩、12時に昼」といった細かい決まりがなく、やることさえやっていれば、休憩のタイミングは自分で決められます。1人で気楽に動きたい人には、この自由さはかなり大きい魅力です。
ただし、これは裏を返せば、その日の予定が終わらなければ帰れないし、休憩も取れないということでもあります。自由と自己責任がセットになっている仕事だと思っています。
自販機ルートマンに向いている人・向いていない人
私の周りを見ていて、続く人と早く辞める人には、なんとなく傾向があります。
続いているのは、根性と体力がある人。そして「言われたことを、繰り返しきちんとやれる」人です。派手さはないけれど毎日同じ作業を淡々と積み重ねられるタイプは、この仕事に合っていると感じます。運転が苦にならないことも大事です。
逆に、早い段階で辞めていく人が多いのも事実です。仕事内容そのものより、体力面や「毎日似た作業の繰り返し」が想像と違った、というところでつまずく印象があります。人とずっと話していたい人にも、単独行動が多いこの仕事は少し物足りないかもしれません。
必要な免許は車両しだい|今の普通免許だと足りないことがある
ここは応募前にいちばん誤解されやすい部分なので、正確に書きます。
結論、必要な免許は運転する車両によって変わります。そして今から取る人は、普通免許だけでは足りないケースがあると考えておいてください。
理由は免許制度の変更です。2017年3月に「準中型免許」という区分が新しくできました。これにより、2017年3月12日以降に普通免許を取った人が運転できるのは、車両総重量3.5トン未満までに制限されています。自販機のルート車は2トントラック級が多く、荷物を積んだ状態だと総重量が3.5トンを超えることが珍しくありません。つまり、今の普通免許のままでは乗れない車両があり、その場合は準中型免許が必要になります。
一方で、昔からの普通免許を持っている人は話が別です。2007年3月11日以前に普通免許を取った人は「中型8トン限定」がついていて、総重量8トン未満まで運転できます。この世代の人は、あらためて準中型を取る必要はありません。
だから「普通免許でOK」と一括りにするのは正確ではない、というのが実際のところです。求人票の応募条件で「準中型免許以上」なのか「普通免許可」なのかは、必ず確認しておくことをおすすめします。この免許の話は、次の「未経験からなる方法」の記事でもう少し詳しく書く予定です。
まとめ|まずは仕事の全体像をつかもう(次に読む記事へ)
ここまで読んでもらえば、自販機ルートマンの1日がだいたいイメージできたと思います。トラックで担当ルートをまわり、売上金の回収・補充・抜き・ゴミ回収・清掃を繰り返す。朝は確認して出発、日中は自販機1台につき20分前後で補充、夕方は帰社して集計と翌日分の積み込み。体はきついけれど、時間の自由さは大きい。ざっくり言うと、そんな仕事です。
そのうえで、あなたがどちらのタイプかによって、次に読んでほしい記事を分けておきます。
これからルートマンを目指したい人へ:未経験からどう応募して、どこを確認して入ればいいのかを別記事にまとめます。→「未経験から自販機ルートマンになる方法」(※近日公開)
今やっていて、辞めたいと感じている人へ:私自身も何度か辞めたいと思いました。その気持ちの正体と、次の仕事の選択肢を正直に書きます。→「自販機ルートマンを辞めたい人の次の選択肢」(※近日公開)
まずは全体像から。あなたに合いそうな入口から読み進めてもらえたらうれしいです。
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