転職エージェントを使って、私は今も止まっています。 面談を受けて、求人を紹介してもらって、応募して、書類選考で落ちて、そこから動いていません。
私は現役の自販機ルートマンで、ペンネームは無糖といいます。「転職エージェント 使ってみた」で検索すると、出てくるのはほとんどが成功した人の話でした。年収がいくら上がった、こんな会社に決まった。読んでいて、少し遠く感じたんです。私はまだ転職していないので。
この記事は、成功体験記ではありません。在職中のまま使って、途中で止まっている人間の記録です。ただ、止まった理由だけははっきりしています。そこがいちばん書きたいところなので、最後まで読んでもらえたら嬉しく思います。
なお、私が使っているのはリクルートエージェントですが、この記事はあくまで一利用者として書いたものです。サービスの公式な説明ではありません。
求人票を見るだけのつもりが、エージェントに登録していた
最初のきっかけは、家計を改善したかったことです。今より年収を上げられる仕事があるのか、それを知りたかった。この動機については自販機補充の給料・年収のリアルのほうに詳しく書いてあります。
そして、ここが少し情けない話なのですが。私は求人票を眺めるつもりで転職サイトに登録して、それがエージェントでした。 間違えて登録した、というのが正確なところです。
だから「決意して登録した」という感覚はまったくありません。ためらいもなかった代わりに、覚悟もなかった。世の体験談を読むと、みんな腹をくくって申し込んでいるように見えます。でも入口はこの程度でも成立します。ここは、登録を重い決断だと思っている人に一番伝えたい部分です。
一度やめました|連絡が止まったのではなく、私が動かなかった
登録したのは何年も前の話です。そして一度、途中でやめています。
理由は2つありました。1つは、そのときも勧められたのが営業だったこと。もう1つのほうが大きくて、自分で応募して行動しないと、何も進まない仕組みだったことです。
私はここを誤解していました。登録さえすれば、向こうが求人を持ってきて、話をまとめてくれるものだと思っていたんです。実際は違いました。求人を見て、選んで、応募するのは自分です。担当者はそこから先を手伝ってくれる人であって、私の代わりに応募してくれる人ではありません。
そして動かないでいると、どうなるか。担当者からの連絡が、自然と止まりました。 責められたわけでも、打ち切られたわけでもありません。こちらが動いていないので、担当者も動きようがない。残ったのは、おすすめ求人を知らせる自動配信のメールだけでした。
受信箱にそのメールだけが溜まっていく状態。心当たりのある人は、けっこう多いんじゃないでしょうか。あれは見捨てられたわけではなくて、こちらが止まっている状態がそのまま表示されているだけです。
年収を上げたくて、また使い始めた
そのまま何年か放っておいて、最近になって再開しました。きっかけは最初と同じで、家計のための年収アップです。
再開といっても、特別な手続きはありませんでした。放置していた登録がそのまま使えます。ここは実用的な情報だと思うので書いておきます。登録したまま止まっている人でも、また使い始められます。 一度やめたから気まずい、ということもありませんでした。
最初の面談は電話とZOOMで1時間|「どうして転職しようと思ったんですか」から
面談は電話とZOOM(パソコンやスマホでする、顔を見ながらの通話)でした。最初は1時間ほど。時間帯は、こちらが希望した時間に入れてもらえました。在職中の身としては、ここがいちばん助かった部分です。
事前にアンケートがあって、面談はその記入内容に沿って進みました。最初の質問は「どうして転職しようと思ったんですか」。そこから、希望や今の状況を順に聞かれていく流れです。
担当者の印象は、落ち着いた感じでした。急かされることも、煽られることもありません。想像していたよりずっと淡々としていた、というのが正直な感想です。
勧められたのは法人営業|レールは敷いてもらえた。ただ、選択肢が欲しかった
年収を上げたいと伝えたところ、勧められたのは法人営業と、金融や保険の分野でした。年収アップを希望として出したので、その条件に合う職種を選んでくれたのだと思っています。
ここからが、この記事でいちばん正直に書きたいところです。
進め方はとても具体的でした。応募のうち面接に進むのはこれくらい、そこから内定が出るのはこれくらい。だから20件くらいは応募してみましょう、という目安を示されました。数字で道筋を引いてもらえたわけです。一本レールを敷いてくれたのは、良かったと思っています。 何をどれだけやればいいのか分からない状態から抜けられました。
ただ、私が欲しかったのは選択肢のほうでした。
私は雑談があまり続かないタイプです。だから「営業は得意ではないです」と伝えました。返ってきたのは「雑談と営業での会話は違うので大丈夫ですよ」という言葉です。おそらく本当のことなのだと思います。ただ、そこで話は次に進んでしまって、他の職種は出てきませんでした。
先に断っておきますが、これは営業という仕事を否定する話ではまったくありません。向いている人にとっては良い仕事のはずです。私に足りなかったのは、営業以外の道も並べて見比べる時間でした。年収アップという条件に対する答えとして営業が出てくるのは、筋としては合っている。それでも、比べたかった。
もう一つ、大事な留保をつけておきます。担当者によってやり方が違うのかもしれません。 私が受けたのはあくまで一人の担当者の進め方であって、これがサービス全体のやり方だとは思っていません。同じように使って、何種類も職種を出してもらった人もいるはずです。
ここから引き出せる教訓があるとすれば、希望はできるだけ具体的に、しかも複数出しておいたほうがいいということだと思います。私は「年収を上げたい」しか言っていませんでした。それなら、その条件に一番合う答えが返ってくるのは当然です。
「気楽に応募してください」と言われたが、応募条件の前で手が止まった
面談で、こう言われました。「応募すると本来はそのまま企業まで進みますが、いったん担当者のところで止めるので、気楽に応募してみてください」と。
これは安心できる説明でした。勝手に話が進んでいくわけではない。気になったら押していい、ということです。
ところが、実際に求人を見ていくと思ったように押せませんでした。応募条件があるからです。 私が見た範囲では、保有資格や営業経験を条件にしている求人が並んでいました。条件を満たしていない自分が応募していいのかどうか、そこでためらってしまう。気楽に応募してくださいと言われても、手が止まりました。
ここは、使う前には想像していなかった部分です。エージェントの紹介記事には「求人数が多い」と書かれていますし、実際に多いのは事実です。ただ、多く見られることと、自分が迷わず応募できることは別でした。いま思えば、条件を満たしていなくても応募していいのかどうか、担当者に聞いてしまえばよかったのだと思います。
そして、応募した先は書類選考で落ちました。 ここも正直に書いておきます。
ただ、落ちた理由は伝えてもらえました。 今までの経験とスキルが企業側の求めるものと若干異なったこと、そして、より条件に合う候補者が他にいたこと。この2つです。落ちたこと自体は残念でしたが、理由が分からないまま終わらなかったのは良かったと思っています。
使ってみて良かったこと、物足りなかったこと
ここまでの体験を、両方向から並べます。
| 良かったこと | 物足りなかったこと |
|---|---|
| 転職活動の分からないところを聞ける | 提案が一つの職種に寄っていた |
| 応募書類を添削してもらえる | 応募条件に引っかかって数が出せない |
| 求人を数多く見られる | 自分が動かないと何も進まない |
| 落ちたときに理由を伝えてもらえる | |
| 必要事項の入力だけで書類の形になる | |
| 仕事終わりの時間に面談を入れられる |
良かったことのうち、私にとって大きかったのは書類の添削です。職務経歴書を人に見てもらう機会は、普通に生活していてまずありません。自分ひとりで書いていたら、たぶん独りよがりなものを出していたと思います。
聞けること自体も価値でした。転職活動は分からないことだらけです。何をどの順番でやるのか、どこまで正直に書いていいのか。そういう質問先が一つあるだけで、動きやすさが変わります。
必要事項を入力するだけで書類の形になる仕組みも助かりました。ここは未経験から自販機ルートマンになる方法でも触れたので、この記事では繰り返しません。
物足りなかったことのうち、上の2つは私の希望の出し方と経歴の問題でもあります。一番こたえたのは3つ目です。
在職中に使うなら、電話に出られる時間を先に伝えておく
働きながら使うにあたって、実際に効いたことを2つ書きます。
1つ目は、電話に出られる時間帯を担当者に伝えておくこと。日中は運転と作業をしているので、まず電話には出られません。先に伝えておけば、出られない時間に何度も着信が入ることもなくなります。これは最初にやっておいたほうがいいです。
2つ目は、書類は帰宅後の落ち着いた時間に書くこと。応募書類は、疲れた頭で片手間に書くと内容が薄くなります。私はまとまった時間が取れる日に回すようにしました。
面談の時間帯を選べたのも、在職中には大きかったところです。私は仕事が終わった後の時間に入れました。日中に休みを取らないと相談できない仕組みだったら、たぶん再開していません。
まとめ|登録はゴールではない。まずは「お気に入り登録」から
私は止まりました。理由もはっきりしています。自分で応募しなかったからです。
エージェントは、登録すれば向こうが動いてくれる仕組みではありませんでした。動く人には価値のある仕組みです。書類は見てもらえるし、疑問は聞けるし、求人は数多く見られる。ただ、置いておくだけだと、おすすめ求人のメールが届く状態に戻ります。私は一度そこへ戻って、そしてまた今、同じ場所で止まっています。
だから、これから使う人には「登録がゴールではない」と先に知っておいてほしいです。私が最初につまずいたのは、まさにそこでした。
とはいえ、いきなり応募するのは怖いと思います。私もそうでした。応募条件を読んでいるうちに手が止まる。その気持ちはよく分かります。
なので、もっと軽い一歩を挙げておきます。気になる求人に「お気に入り登録」のような印をつけておくことです。応募ではないので、そこから選考が始まるわけではありません。自分が何に反応したのかが、目に見える形で残ります。
そしてもう一つ。この動きには担当者も気づきます。 こちらが何に興味を持っているのかが伝わるので、放置していたときのように連絡が止まっていく流れからは抜け出せます。面談のあとに何もしないでいると、私のように止まるところまで一直線です。印をつけておくだけなら、今日でもできます。
辞めると決めていなくても構わないと思っています。私も決めていません。次の選択肢そのものについては辞めたい人の次の選択肢に整理してあるので、そちらもあわせて読んでもらえたらと思います。
成功した話は世の中にたくさんあります。この記事は、途中で止まっている人間が書いた記録です。同じところで止まっている人が、次の一歩を決める材料になれば嬉しく思います。


コメント